コラム
2025年7月23日
SFTSの危険性!猫のノミ・マダニ予防ってしないといけないの?

皆さま、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という感染症をご存知でしょうか?
これは、マダニが媒介する感染症です。
犬や猫といった動物だけでなく、私たち人間にも感染する病気で、命を落とすこともあります。
2025年5月には、獣医師が、診察した猫からSFTS に感染し、命を落とすという痛ましい事例もありました。
ここでは、このような事例から、マダニ予防を中心にノミ・マダニ予防の必要性についてご紹介いたします。
目次
ノミ・マダニの予防はなぜ必要なのか?
前述のとおり、マダニが媒介するSFTSのような感染症は、犬や猫を介して人間にも感染します。
つまり、犬や猫が感染すれば、飼い主さんにも感染する可能性があるのです。
「マダニが媒介する感染症っていっても大したことないのでは?」
「あまり事例も多くなさそうだから大丈夫では?」
このように安易に考えている方もいらっしゃると思いますが、このマダニが媒介するSFTSは非常に厄介な感染症なのです。
どのように厄介なのか、見ていきましょう。
SFTSに感染した猫の症状
猫がマダニに噛まれてSFTSに感染すると、次のような症状が現れます。
- 高い熱が出る
- 嘔吐がある
- 黄疸が見られる
- 食欲がない
SFTSに感染した猫は重症化することが多く、出血、他臓器不全などを起こし、死に至ることもあります。
SFTSに感染した猫の致死率は、約60%です。
SFTSに感染した猫の治療法は、現在のところありません。
SFTSに感染した人の症状
人間もマダニに噛まれることでSFTSに感染しますが、実はそれだけでなく、SFTSに感染した猫などの動物の血液や体液に触れることで感染することもあるのです。
人間が感染した場合、6〜14日ほど潜伏期間があり、そのあと、発熱や全身の倦怠感といったインフルエンザのような症状が見られます。
また人間から人間への感染も報告されています。
人間がSFTSに感染した場合、次のような症状が見られます。
- 消化器症状
- 神経症状
- 出血症状
人がSFTSに感染した際の致死率は、約30%です。
猫よりは低いとはいえ、0ではありません。
特に高齢者は重症化しやすいので、注意が必要です。
人間がSFTSに感染した場合、抗ウイルス薬による治療を行ないます。
マダニに噛まれないようにするためには?人・猫の対策方法
ご覧のようにマダニに噛まれると、SFTSを発症する危険性があります。
SFTS対策のためには、マダニに噛まれないようにすることが一番です。
ここからは、マダニに噛まれないようにするために対策について人、猫それぞれご紹介いたしましょう。
人のマダニ対策
私たち人間が気を付けることは4点です。
- 草むらなどに入る際は、極力肌の露出をしないようにする
- ディート等マダニに有効な成分が入っている虫除けスプレーを使用する
- 屋外の活動の後は、マダニがついていないか全身をチェックする
- 感染した動物からうつるリスクを避けるため、野良猫や野良犬などの接触を避ける
猫のマダニ対策
猫の予防法に関して気を付けることは2点です。
- 屋外に出さず、完全室内飼育を徹底する
- ノミ・マダニ予防薬を投与する
完全室内飼育の猫であれば、ノミ・マダニ対策は十分?
結論から言うと、完全室内飼育であってもノミ・マダニ対策は必要です。
と言うのも、ノミやマダニは、飼い主の衣服や持ち物にくっついて、屋内に侵入することがあるからです。
また市販の予防薬を投与していたにも関わらず、ノミやマダニに感染したケースもあります。
完全飼育であっても定期的に愛猫の体をチェックすることが大切です。
こんな症状に注意!マダニに噛まれてSFTSを発症しているかも?
愛猫に、次に挙げる症状が見られたら要注意です。
マダニに噛まれてSFTSを発症しているかもしれません。
- 突然、高熱が出た
- 急に食欲がなくなった
- 嘔吐や下痢をしている
- ふらふらして歩行が困難
- 皮膚に紫斑など出血が見られる
以上のような症状が見られたら要注意です。
SFTSを発症している可能性があります。
そして、このような症状が見られたら、愛猫を触るときには手袋をつけるようにしましょう。
排泄物の処理の際も、直接手につかないように気をつけてください。
また愛猫に上記のような症状が見られたら、飼い主さんも自身の体調に注意が必要です。
発熱や倦怠感などインフルエンザのような症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。
まとめ
マダニが媒介するSFTSは非常に恐ろしい感染症であることがお分かりいただけたと思います。
愛猫から飼い主さんに感染するケースもあることから、愛猫だけでなく飼い主さん自らも注意が必要です。
万が一感染した場合、小さなお子さまや高齢者の方は、重症化するリスクが高いとされています。
感染しないように気を付けるとともに、万が一感染した場合は、速やかに医療機関を受診してください。
ノミ・マダニから大切な愛猫を守ることは、飼い主さん自身を守ることにもつながります。
また大切なご家族を守ることにもつながります。
大切な愛猫や家族のためにも「うちは大丈夫!」と思わずに、ノミ・マダニの予防は、きちんと行なうようにしましょう。